ほとけ様の花
芸術新潮で連載させてもらっている「日々の花」9月号が発売されました。
今回は、公私ともにとってもお世話になっているDEES’ HALLオーナーの土器典美さん。
土器さんの日々の花は仏壇の花だという。
土器さんのお話を伺っていて、私は毎日の暮らしの中にたくさんの花があるのは苦手なのだが、父が亡くなった時には、仏壇に花が溢れるくらいにないと寂しくて嫌だったことを思い出した。しかも、亡くなったばかりの頃の白い花ばっかりでは、寂しすぎて、、、すぐに赤や黄色など、元気な色の花をたくさん供えた。そうするとなぜか不思議に寂しさがすこしだけ慰められて、何だか安心したのを覚えている。
今年もお盆にお墓参りに行った。その時は実家近くにある産直で、真っ赤なクルメケイトウと真っ青なリンドウ、それに名前は知らないが、たわわに枝咲きし山吹色の小花を加えた賑やかな花をお墓に供えた。暑さを避けて早朝に出かけたのにも関わらず、お墓の掃除は重労働で終る頃には滝のような汗。掃除をし終えて、最後に花を供えた。真夏の太陽のもと、鮮やかな花色は水に濡れた古い墓石によく映えた。花をいけると、その場の空気が生き生きとしたものに一変し、私は父が生きていた頃と変わりなく、自然と「お父さん、綺麗だね〜」と口にしていた。
この夏、ひとは花を介して亡くなった人と会話しているのかもしれないと感じた。
昔のひとは、自然と共に暮らしていたので、あの世とこの世を繋ぐ花の力を知っていたのではないかと思う。
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